2022年7月27日水曜日

ウクライナ情勢を見ても、米中対立を見ても、これから地政学的に大きな変化は避けられそうにありません。 ロシアの侵攻に対してウクライナは健闘していますが、ロシアが地力で勝るという現実が徐々に明らかになってきました。さらにアメリカ主導で対露経済制裁が行われているわけですが、参加しているのは先進国だけ。制裁を掛ければロシアは立ちいかなくなるだろうという見込みで始めたわけですが、あまり効いていない。現実問題として先進国に世界をコントロールする力などないことが証明されつつあります。 そういう混沌とした世界情勢の中で、現状分析もあやふやでビジョンを明確に示さない2012年体制が対応できるのか。難しいだろうと言わざるを得ません。 ――ビジョンのない長期腐敗体制は、なぜ生まれてしまったのでしょうか。 無能と不正、腐敗の体制がなぜできたのかを問うべきでしょう。今回の参議院選挙でも自民党が大勝したわけですが、それは国民がこの体制を支持し続けているからにほかなりません。 本来、民主主義国家では、国民の不満が高まれば為政者にノーが突き付けられる。イギリスでは7月7日にジョンソン首相も辞任に追い込まれたわけですが、きっかけはコロナ禍の行動制限に違反してパーティを開いていたことでした。こうした権力者の不正を罰する国民の姿勢は、少なくとも2012年体制ができてから、日本では影を潜めています。 批判に値することが続けばトップのクビが挿げ替えられる。この当たり前の民主主義のメカニズムが、日本では働かなくなっている。もはや日本では選挙が機能していないのではないかと、選挙をやる意味すら問われる状況になってきてしまっています。 その意味で、冒頭に語ったように安倍氏は2012年体制の犠牲者と言えるのではないでしょうか。本来であれば、無能と不正、腐敗が明らかとなれば、どこかでブレーキがかかるはずだったのですからね。 国葬に反対する理由 私自身はもう、一つ一つの選挙の結果に一喜一憂しなくなりました。結局は今のような政治状況を作っている社会の質、社会を構成している国民の質が問題の本質なのです。 経済的に苦しくなっているのに、投票率は上がらない。明らかに統治パフォーマンスの低い「長期腐敗体制」を支持してしまう。危機を回避する本能が、日本からどんどん失われているのではないか。日本人は生命力を失いつつある。そんな危機的な状況に陥っているのだと思います。 最後に、安倍元首相の国葬に私は反対です。最大の理由は、国家・国民に対する貢献がないからです。岸田首相は、民主主義への挑戦には屈しない意思を示すというようなことを言っていますが、そもそも山上容疑者による犯行は民主主義への攻撃ではない。家庭と彼個人の人生を台無しにされたことによる恨みが動機です。 選挙期間中の犯行となったのは、やりやすかったからにすぎない。ですから、国葬の岸田政権による政治利用は明らかであって、それは2012年体制を維持するのだという意思表明にほかなりません。岸田氏も、国葬を支持する人たちも、自分の権力の維持や自分の自意識のかさ上げのために、安倍氏を亡くなってまで利用するのはいい加減にしろ、と言いたいです。

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