2019年12月27日金曜日

続き

傍観者にならないよう考えなければならない」と訴え続けている。
さらに同氏は、性暴力の問題に集団的に取り組む方法も示している。伊藤氏が望んでいるのは、どちらか片方の性がもう片方の性を責めるのではなく、あらゆる人を巻き込んだ議論だ。実際、伊藤氏は山口氏に対して恨みは抱いてないと語っている。求めているのは復讐ではなく、正義だけだ、と。

こうした態度は、日本における性暴力への対応改善にあたって特に重要だと思われる。自白が非常に重視される日本の刑事司法制度では、不当な有罪判決のリスクは大変深刻なものだからだ。
日本で性暴力が過小評価されているのは確かだ。たとえばフランスでは、2017年に1万6400件のレイプ被害届が出されている。一方、警視庁の犯罪統計によると、日本で同じ年の強制性行等の認知件数は1109件。フランスでは日本の15倍近くのレイプ事件が起きているとまじめに信じる人がいるだろうか。

自分ごと」として話し合えるかどうか

45人のボランティアによって運営されている24時間年中無休の性暴力救援ダイヤル「NaNa(ナナ)(Not alone, Not afraid=もう1人じゃないよ、恐れずに連絡して)」が1カ月に受ける相談数は約500件に上る。
こうした中、同ダイヤルを運営する性暴力救援センター・東京の平川和子理事は、「性暴力に関する法律は、10年という公訴時効をなくすべき。とくに未成年の場合、法廷に立つ勇気を持つまでに何十年もかかることがある」と主張する。
「また、日本の刑法は相手の同意のない不同意性行についても処罰の対象とするべきだし、上下関係がある中でレイプが発生した場合、より厳罰を求められるようにしたほうがいい」(平川氏)
年の瀬に出た今回の判決は、間違いなく日本の性犯罪におけるランドマーク的な判決となるだろう。が、日本の実態を変えられるのは、この問題を日本人がより真剣にとらえ、「自分ごと」として話し合っていくかどうかにかかっている。




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