2022年12月5日月曜日

鹿児島基地

南日本新聞社12月2日付記事→夫は海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋市)の隊員。休日に突然呼び出されることも少なくない。「独裁政権の心一つで有事が起きかねない」との懸念は、夫に対する心配そのものだ。  やりがいを持って任務に向かう夫を誇りに思う。基地に一時展開する米空軍兵とも交流し、異国での困惑を知った。だから、頭ごなしに駐留に反対する人たちには違和感がある。「もっとお互いのことや海の緊張を知ってほしい」と願う。 ■□■  「基地の街の宿命」。7月、米空軍無人機MQ9部隊の受け入れを表明した中西茂鹿屋市長は監視強化の必要性を認めた上で、こう絞り出した。  2015年10月に米軍KC130空中給油機の訓練移転を容認。市には15~21年度、計26億4000万円の米軍再編交付金が支払われた。ただ、これまでの訓練実施は19~20年にあった計7日。他の基地の負担と比べると「恩恵」を多く得たともいえる。  高校生までの医療費無償化、道路や運動広場の整備など再編交付金を活用した事業は暮らしに溶け込む。市内で高校2年の息子を育てる派遣社員の女性(45)は「よく病院に行くから無償化は大助かり」。ただ、財源のことは知らなかったという。  今回の無人機の一時展開では、飲食店やホテルが潤うと聞く。半面、沖縄のように米軍絡みの問題が起きるのも嫌だ。「ありがたいと思っていいのかな」と複雑そうだ。 ■□■  10月末、基地のゲート前に市民団体のメンバーら約100人が集まり、「米軍は要らない」と部隊駐留に反対の声を上げた。県外や種子島からの参加者もマイクを握り、西之表市馬毛島で進んでいる日米共同で使う基地整備計画などに触れ「古里の形が変わる」と訴えた。  市民団体の幹部は2000年代に鹿屋や徳之島であった反対運動を振り返り、「米軍への抵抗感が格段に薄まっている」と焦る。今は市民から直接文句を言われることも増えたという。「何となく軍拡を認めていては、いつか来た道だ」  鹿屋市と九州防衛局は今回の一時展開で「米軍使用の常態化は考えていない」とする協定を結んだ。だが、1年後とする無人機の撤収後には協定の効力を失うとのただし書きも付いた。  中国と日米のにらみ合いはやむ気配がなく、近く新たな国家安全保障戦略もまとまる。国と地方、住民…。さまざまな思いが入り交じりながら、鹿児島は国防の変化を象徴する土地になりつつある。

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