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バブルは無縁だし、3人に1人は浪人したし、就職氷河期だし、結婚難しいし……。俺たち、損してない? ロスジェネ、団塊ジュニアと言われ、バブル世代と、ゆとり教育世代に挟まれた彼らの苦悩とは?
その思いをつづったのが、『
アラフォー男子の憂鬱』(日経プレミア新書)である。アラフォー男子の気持ちを代弁した本として、人気を集め、発売後すぐに重版がかかったという。この本の執筆陣、赤木智弘、おおたとしまさ、常見陽平、速水健朗の4人が、アラフォー男子の本音をぶちまける。
実は、初代「いじめ世代」であり初代「ゆとり世代」
尾崎豊が盗んだバイクで走り出し、夜の校舎で窓ガラスを割っていたその頃。3年B組、坂本金八先生のクラスの中学生が妊娠して、「15歳の母」となったその頃。僕たちはまだ小学1年生前後だった。
考えてみれば、その中学生たちこそ、バブル世代にあたる。昔から随分と派手にやっていたわけだ。
その代わりに僕たちが中学生の頃から「いじめ」がクローズアップされるようになった。1986年には、「葬式ごっこ」などクラス担任までが加担するいじめを理由に中学生が自殺し、世間は騒然としたのだ。昨今もいじめの問題は後を絶たないが、実はそのはしりは僕らの世代だった。
バブル世代の「校内暴力」に対して、僕らの世代は「いじめ」。バブル世代が学校という権力に対して闘争していたのに対し、僕らは仲間内で削り合っていたということになる。なんだか校内暴力のほうがまだ健全なエネルギーの発散だったように思えてしまう。
荒れた学校を立て直そうと、1977年版の学習指導要領に「ゆとり」というキーワードが初登場。1980年、小学校から「ゆとり教育」が実施された。ちょうど僕が小学校に上がった年。つまり実は僕たち世代こそ、「ゆとり世代」の草分けなのだ。よく「ゆとり世代はダメだね」なんてぼやくアラフォーがいるが、本来、そんなこと言えた義理ではないのである。
中学受験ブームと過酷な大学受験戦争
一方、1980年代半ばから、東京では中学受験熱が高まった。ちょうど僕たち世代が中学生になる頃からだ。1968年に東京都で始まった「学校群制度」とう迷施策によって公立高校が凋落。1970年代後半から、東大合格者数ランキングトップ10には、私立中高一貫校ずらりと並ぶことになる。そこにきて、前述の公立中学校の荒廃である。中学受験熱が過熱する。とはいっても、中学から私学の高い学費を払える家庭はごく一部に限られていた。が、1986年にバブル到来。中学受験が大衆化していくのである。
大学受験も過酷だった。1990年代の序盤から、女子の4年制大学進学率が急伸しているのである。まさに僕ら世代と同世代の女子たちから、4大進学がぐんぐん伸びているのである。社会全体とすれば望ましい変化だが、一受験生としてみれば、それだけ大学受験の倍率が上がるということ。ただでさえ僕ら世代は第2次ベビーブームの頂点。そこに優秀な女子が参戦したのだから、僕らの大学受験は、倍率のうえで考えれば、非常に厳しかったことになる。なんと3人に1人は浪人した時代だったのだ。
イクメンであることが当たり前
時は流れ、僕らは今、アラフォーと呼ばれるオヤジになった。日々勉強は続けなければいけないが、学校という場所からは離れてだいぶ経つ。しかし、教育という営みは、受けて終わりではない。次世代につないでいかなければならない。
アラフォーともなると、結婚し、子どもを授かっている人の割合も多いだろう。僕ら世代が結婚し、子どもを授かったその頃やってきたのがイクメンブームである。
厳しい受験、就職氷河期、長引く不況、リーマンショックを乗り越えて、やっと社会の中堅メンバーとして活躍しようというそのときに、「これからの男性は仕事だけじゃダメ! 育児も家事もできなくちゃダメ!」というダメ出しが待っていたわけだ。
これは自信を持って言えるが、子育ては幸せな営みだ。決して嫌なことではない。せっかく子どもを授かったのなら、男性だって思う存分、子育てにかかわったほうがいい。そしてそもそも、アラフォー以下の世代には「育児なんて女がするもの」という旧来の価値観は、ほとんどないように感じる。ただし、社会の価値観や会社の仕組みが変わらなければ、育休を取ろうにも取れない。
世に出れば未曾有の不況、家庭に帰れば未曾有の密室育児ストレスを抱えてキーッとなっている妻が待っている……。正直、パパだってかなりしんどい状況だ。
それなのにちまたでは「バリバリ仕事して、しっかり稼いできてくれるけど、家には早く帰ってきてくれて、家事も育児も進んでやってくれる。自分の愚痴はもらさずに、ママの愚痴には何時間でもつきあってくれる。子どもとたくさん遊んでくれるけど、ママへの愛情表現も欠かさない。時にはビシッと子どもをしかれるけど、ママのことは絶対に非難しない。適度にオシャレで、かっこいいけど、ママ以外の女性には見向きもしない……」なんてイクメン像が出来上がっている。
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