2022年7月26日火曜日

素晴らしい

大恋愛の末に結婚した伴侶の体が麻痺してしまったらどうするだろうか。中国でトラック運転手をする男性はこの2年間、妻を助手席に乗せて仕事を続け、食事から下の世話まで一人でこなしてきた。男性にとって妻は“初恋の人”で、妻は夫の愛を一身に受け少しずつ回復しているという。『AsiaOne』などが伝えた。 中国・甘粛省隴南市出身の聂建文さん(Nie Jianwen、39)は2003年、中学の同級生だった曹盈盈さん(Cao Yingying)と結婚、すぐに2人の息子に恵まれた。2007年のこと、建文さんはより良い稼ぎを得るために、妻に息子と母(76)の世話を任せ、故郷から約2000キロ離れた上海を拠点にトラックの運転手を始めた。 ところが2020年、盈盈さんが脳出血を起こして倒れ、一家の生活は激変した。衣料品やアクセサリー、靴の販売を手掛けていた盈盈さんは自分の身の回りのことすらまともにできなくなり、経営していた3店舗を手放し、一家の稼ぎ手は建文さんだけになった。 建文さんは、当時のことをこのように振り返る。 「実は私が運転するトラックは、妻と一緒に貯金していた約204万円(10万元)で中古で購入したものだった。仕事は順調だったし、稼いだお金を妻に送って上手くやり繰りしていたよ。」 「妻が倒れ、集中治療室で10日以上入院していた時、私はちょうど上海にいてね。家に戻ると妻はすでに退院していて、70代の母が子供の世話をするようになっていた。私は自分のことを打たれ強いと思っていたけど、さすがにつらかったね。ただ子供たちで手一杯の母に妻の世話をお願いすることはできず、ある決意を固めたんだ。」 建文さんの決意とは、盈盈さんをトラックに乗せて世話をしながら仕事をするというもので、夫婦はトラックで一日の大半を過ごすようになった。建文さんは荷物の運搬を行う一方で、妻の衣服を取り換え、桶を使って頭を洗い、洗濯をして食事を作った。もちろん妻の誕生日にはケーキを買ってお祝いをし、リハビリにも付き合った。 妻を背負ってのトラックの乗り降りは決して楽ではないが、建文さんは布紐で妻の体を固定、弱音を吐かずに歯を食いしばる。 「一番大変なのはトイレだった。妻は夜中に2、3回トイレに行くし、トイレが間に合わなくて何度も掃除をしたよ」と明かす建文さん。子供たちは2人とも学校を中退し、19歳の長男は今年3月から上海で働き、下の子は地元で暮らしているそうで、「まだまだ元気で働かなくてはならないよ。いずれはトラックを新しくしたいし、家の改築もしたいね」と意欲を燃やす。 ちなみに盈盈さんは、リハビリの甲斐あって建文さんの助けがあれば2キロの距離を歩くことが可能になり、トラックに乗って外に出るようになってからはよく笑うようになったそうで、SNSには2人が笑顔を見せる写真も投稿されている。 盈盈さんは「彼に初めて洗髪してもらった時には涙が止まらなかったわ」と明かすと、献身的な夫についてこのように述べた。 「夫は本当にいい人で責任感がとても強いの。それに何よりも私のことを心から愛してくれているわ!」 一方で建文さんは「誰かと人生を共にするというのは大変なこと」と語るも、こんなストレートな思いを明かした。 「実は妻は、私の一目惚れで初恋の人だった。一目見た時に『ああ、彼女こそ運命の人だ』と思ったんだ。倒れる前の妻は本当によくやってくれていたし、病気になったからといって見捨てたりしたら一生後悔する。愛する妻の面倒をみるのは人間として当然のこと。私の責任だと思っているよ。」

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