すると興味深いことに、誇大ナルシストの傾向がある人たちはストレスの認識レベルが低く、自分の生活がストレスフルだとみなす可能性が低かった。どうやら誇大ナルシストたちは精神的にとてもタフにできており、このメンタルの強さがうつ病の症状を相殺するうえで役立っているようなのだ。
「われわれのすべての研究結果からは、誇大ナルシシズムにおける『自信』や『目標への志』は肯定的な要素である『精神的な強さ』と相関が強いことがわかります」と、パパジョージオ博士は言う。「もちろんナルシシズムのすべての要素がよいわけではありませんが、ある側面はよい結果をもたらすということです」
人生における困難をハードルとみなすか、挑戦と捉えるか。誇大ナルシストたちは、困難を挑戦と認識できる強メンタルがあるのだ。それはストレスや摩擦の多い人間社会において、とても示唆に富んでいる。
研究者チームは、ナルシシズムは善悪では簡単に推し量れないもので、それらは状況に応じて変わりうると主張する。いかに世間で“負(または闇)の人格特性”と認識されようが、これらは人間の多様な人格特性のひとつとして内包されるべき進化の産物なのだ。またこの研究は、社会の利益のためにナルシシズムのよい側面を促進させ、“負の特性”を抑制させる方法を見出す第一歩だとしている。
いずれにせよナルシシズムは、直接関与しなくてはならない人にとっては付き合いづらい特性かもしれないが、本人にとっては周囲から煙たがられようがなんのその。そう悪いことではないようだ。少なくとも“鉄のメンタル”のおかげで、うつ病患者のように世界を“灰色”に認識することはなく、カラフルに色づけて見ることができるのだから。
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