会の名称「全ての生命を尊ぶ」ことはいうまでもなく、 地球や地球に生きる鉱物や水蒸気や植物、動物、人間を 含む宇宙全てにおけるあらゆる魂たちと統合をし、あらゆる魂たちが 愛と自由の元活躍出来ることを目指します。
2022年10月4日火曜日
田舎暮らし
田舎暮らしをスローライフと勘違いする人の悲劇
夢から醒めた後に本当の喜びが感じられる
2022/10/01 13:00
田村 余一 / 田村 ゆに
田舎暮らしには都会にない苦労もある(写真:Tony/PIXTA)
コロナ禍でリモートワークが増え、昨今は空前の地方移住ブーム。地方移住や2地域居住に関心のある人の割合は、コロナ禍前の9.2%から12.9%まで上昇(「国土交通白書2021」より)。移住支援制度を用意する自治体も増えています。
しかし、田舎暮らしを「自然の中でゆったり暮らせるスローライフ」と勘違いし、憧れだけで移住してしまうのはとても危険。『都会を出て田舎で0円生活はじめました』の著者で、青森で自給自足の生活を送る田村余一さん・ゆにさん夫妻が、田舎暮らしのリアルを語ります。
充実した田舎暮らし。でも、現実は……?
僕、田村余一は、嫁さんと息子の3人家族。青森県の自然豊かな田舎で暮らしています。家は廃材を使ってセルフビルドした木造平屋。電気・ガス・水道は契約せず、家庭菜園で育てた野菜や敷地内で採ってきた山菜キノコが我が家のごちそう。お金にはほとんど頼らない、自給自足の生活です。
そんな僕にも、社会で働いていた時期が少しあります。スーツも着たし作業着も着ました。でも、どの仕事も心からやりたいとは思えなくて、ストレス発散のためにお酒を飲んだり衝動買いをしたりしては、金欠になってまたがむしゃらに働く……という悪循環。もともと環境問題に関心があったこともあり、「僕がいなかったら、この先食べるかもしれなかった鶏や豚や牛は助かるし、生活ゴミも減らせるかな…」なんて考えていた20代でした。
そこから紆余曲折を経て徐々に自給自足生活へ。最初は一人でしたが、嫁さんが来てくれ、息子が生まれ、今の田村家があります。
毎日「生きてるなぁ」と実感できる充実したこの暮らしを、かつての僕のように都会で心をすり減らしながら生きている人たちに選択肢のひとつとして提案したい。そんな想いで、田舎暮らしを体験できるワークショップや講座を開催したときもあったのですが、そこで参加者の方々が直面するのが「理想とのギャップ」。田舎暮らしに夢を抱いて参加してくれたものの、現実を知って「やっぱり無理そう!」となる人、実はすごく多いんです。
僕のワークショップに来てくれる人は、8〜9割が「田舎暮らしってなんとなく憧れる」「どんな感じか体験してみたい」という層。実際にどういう生活をするのかはよく知らない人がほとんどです。
僕たちの暮らしは、決して「スローライフ」とは言えません。畑を管理したり、掃除したり、太陽の位置に合わせてソーラーパネルの向きをちょこちょこ変えたり……とやること山積み。
映画などでは簡単そうに見える薪割りも、実際の斧は重いし、扱いを間違えると大怪我をするし、いきなりできるものではありません。便利家電があればボタンひとつで済むことも、ボタンの奥にある工程を自分たちの手で1つひとつ作業していくのが田舎暮らしです。
住む場所によってもいろんな苦労があります。僕たちが住んでいる地域には学校も病院もありますが、本当の山奥だと不便すぎて大変。となり近所に一般的な農家さんの畑があると、シーズン中は農薬が家の窓について取れない、なんてことも。当然ながら虫や動物もいっぱい出ます。
そう伝えると、みなさんの表情がだんだん曇ってきます。「そんなことまでやるの?」「大変そう」とザワザワ……。でも、夢を見ている人を夢から醒ますのも僕の役割。家も仕事も手放して移住してしまってから後悔するより、事前に現実を知って判断してもらったほうがいいので、包み隠さず説明しています。
メリットだってたくさんある!
大変な面ばかり紹介してしまいましたが、もちろんメリットもたくさんありますよ。田舎暮らしは自然を相手にすることが多いですが、人と接するときのように言葉を介する必要がない分、気を使ったり相手の言葉に傷ついたりすることがありません。
子育てのしやすさも抜群。いつもそばで成長を見守れるし、隣家とは距離があるので迷惑をかけないか心配する必要もなし。僕が作業しているときも、ひとりで蟻の行列を眺めたり、木と金槌と釘でトントン遊んだり、自然の中で飽きずに楽しんでくれるので助かります。
なにより、日々の大変なこと1つひとつを自分の手でクリアしていく、そのこと自体が「生きてるなぁ」という感覚と喜びをもたらしてくれています。
ただ、移住を決める前は、通えるだけ現地に通うことをおすすめします。家族で住むなら家族全員で。その地域の環境や人柄をリサーチして、デメリットもきちんと聞いて、できれば移住後もサポートしてくれる地元の人を見つけてください。田舎暮らしをしている人は、SNSで情報発信や仲間募集をしていることが多いので、そこからあたってみるのもいいですね。
田舎で暮らすための最低限の技術やノウハウも必要です。「この古民家いいな」と思って購入したら、床下がボロボロだったり、冬がものすごく寒かったり……ということはよくあります。自分で修繕できなければ業者さんにお願いすることになり、実際に暮らし始める前に貯金が飛んでいくケースも。
あとは、「田舎に行けばなんとかなる」という幻想も危険。都会ならではの息苦しさはないかもしれませんが、代わりに「自活力」や「自給力」を養わなければいけません。自分で情報を見つけたり、自分で対処したり、自分で人脈を築いたりする意気込みがないと厳しいです。たとえばコミュニケーション力を活かして地域の人と人をつないでビジネスをつくるなど、都会で培ったものを活かすつもりで来ることが大切です。
田舎暮らしに向いているなと思うのは、困難を克服する喜びを感じられる人。都会ではお金で解決できる日々の困難も、田舎では自分で解決しなければいけません。僕はもともと、難しいことや苦手なことから逃げないように生きてきました。以前やっていたデザインの仕事も「業者さんに頼むより自分でやっちゃおう」と独学で始めたのがきっかけだし、今やっている御用聞き屋の仕事も「誰もやらないなら僕がやろう」と始めたもの。
できなかったことができるようになったときの、「自分のOSが10.0から13.0にアップデートした」みたいな快感がたまらない! これに共感する人は、田舎暮らしの魅力を存分に味わえるタイプだと思います。
妻から見た田舎暮らしのリアル
私、田村ゆには、田村余一の妻として田舎で暮らし始めて6年目。札幌で生まれ育ち、高校卒業後は東京で暮らしていた都会っ子ですが、着物と出会ったことで価値観がガラッと変わり、日本古来の文化や自然に興味を抱くように。いつしか、自分の暮らしも自然に近いものへ変えていきたいと思うようになりました。
『都会を出て田舎で0円生活はじめました 』(サンクチュアリ出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします
だから今の田舎暮らしは私の理想。「スローライフ」や「リゾート」のイメージとはまったく違い、常に手足を動かして作業しているような毎日。青森は冬が厳しいので、暖かい時期に野菜を作っておいたり、薪を用意しておいたり、年間で計画を立てて行動しないと命の危険も生じる暮らしです。でも、そういう生活がしたくて来たので、とても充実しています。
「ずっと同じような暮らしで飽きない?」と聞かれることもありますが、とんでもない! 住んでいる場所は同じですが、気候も周辺環境も育てる野菜も毎年変わります。子どもも日々成長します。その中でいろんなことに挑戦していく過程が楽しくてしかたないんです。夫が言っていた「困難を克服する喜びを感じられる人が向いている」というのは、まさにその通りだと思います。
実際にやってみないとわからないことが多いのが田舎暮らし。興味があるならお試しで暮らしてみるのもアリだと思います。理想の暮らしをしている人を見つけて、実際に話を聞いてみたり、生活を真似してみたりするのもおすすめ。移住後のイメージが湧くし、困ったときに助けてくれる存在になるかもしれません。
いきなり山奥に住むなどの無理はせず、ダメだったら都会に戻れる選択肢もきちんと残しながら、リアルな田舎暮らしをぜひ体感してみてほしいなと思います。
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