2022年7月16日土曜日

政教分離

高橋まりさん→公園の敷地に設置された儒教の祖である孔子を祭る孔子廟の土地使用料を免除して一般社団法人から徴収していなかったことが「政教分離の原則」に違反するかどうかが争われていた裁判で、最高裁判所が判断をしたというのです。 裁判所の出した結論は、那覇市が土地使用料を免除したことは憲法が禁じた宗教的活動に該当するとして、憲法に反する、つまり違憲と判断したとのこと。 検察官をしていたときはもちろん、弁護士になってからも、私は、一度も業務として「政教分離」の問題と直面する機会はありませんでしたが、司法試験の勉強をしていたときには試験に出題されることも多い論点でしたので、昔、政教分離訴訟にかかわる判決文はかなり読み込んだ記憶があります。 みなさんも、「政教分離」という言葉、報道で見聞きすることありますよね。 多くのかたは、内閣総理大臣の靖国神社公式参拝報道を思い出されるのではないでしょうか。 政教分離というのは、政治と宗教を分離させることを意味する、ここまでは、読んで字のごとくですよね。 でも、なぜこんなルールがあるのかと考えたことはありますか? この政教分離は、日本国憲法で定められたルールです。 憲法20条は、1項で「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」と、3項で「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と定めています。 そして、憲法89条は、公金その他の公の財産は、宗教上の組織等のために支出してはいけないと定めています。 どうして、国やその機関は、宗教的活動をしてはいけないのか? それは、国民ひとりひとりの信教の自由を保障するためなのです。 なぜ政教分離が国民ひとりひとりの信教の自由につながるか? それは、日本ではいろいろな種類の宗教が多元的、重層的に発達、併存してきていると考えられていますが、そのような宗教事情のもとで、国がある特定の宗教と結びつくと、国がその特定の宗教を(誤解をおそれずに申し上げると)推しているような状況になるため、国民が、国の推す宗教以外を信仰することが難しくなると考えられると考えられているからです。 逆に言えば、一人一人の信教の自由を確実に保障するには、国と特定の宗教との関係を断ち切る必要があるということ、これが政教分離の趣旨です。

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